年金の繰り上げと繰り下げ、受給額はどれくらい違うの?
老齢基礎年金の受給開始年齢は、
原則65歳からですが、
本来よりも早く受け取る
「繰り上げ受給」と、
受給開始を遅らせる
「繰り下げ受給」という制度があります。
この記事では、
個々人の状況によって
年金の繰り上げと繰り下げ、
受給額はどれくらい違うのか、を
より具体的にわかりやすくお伝えします。
Contents
年金は一度繰り上げたら変更できません
繰り上げは
最大で5年間前倒しができ、
60歳以降の1ヶ月単位で
受給開始期間を指定できます。
でも、本来よりも早くから
年金をもらうわけですから、
満額を受け取ることはできません。
1ヶ月繰り上げるごとに
0.5%ずつ減額されます。
60歳から年金を受け取る場合、
減額率は、
30%(0.5%×60ヶ月)になってしまいます。
それと、
知っておいていただきたいのは、
一度繰り上げると
途中で変更はできず、
減額された年金を生涯、
受け取ることになることです。
スポンサーリンク
年金の繰り上げ受給の注意点とは
減額に加え、
繰り上げには次のような注意点があります。
①繰り上げ請求を行うと、
障害者年金、寡婦年金は原則として受けられない。
②国民健康保険の任意加入、追納ができない
③65歳になるまでは、繰り上げ支給の年金か、
遺族基礎年金のいずれか一方しか受けられない
④加給年金や振替加算は繰り上げ受給ができず、
本来の受給開始年齢から支給される
年金で長生きすると「繰り上げは損」って?
繰り下げ受給も同様に、
最長で5年、66歳から1ヶ月単位で
受給開始を遅らせられます。
繰り下げをすると、
1ヶ月ごとに支給額が0.7%増額され、
5年繰り下げて
70歳から受給開始した場合は、
42%も増額された年金を、
生涯受け取れる計算です。
しかし、繰り下げについても以下の注意点があります。
①65歳を過ぎて繰り下げ待機中に死亡した場合、
65歳から死亡した月までの分が
「未支給年金」として遺族に支払われる。
②加給年金や振替加算は繰り下げが出来ないうえ、
繰り下げ待機中はいずれも支給されない。
③繰り下げ待機中に遺族年金などの権利が発生した場合、
その月に繰り下げの請求をするか、
さかのぼって65歳から受給かを選択できる。
スポンサーリンク
年金の繰り上げ・繰り下げの分岐点とは
結局のところ、
繰り上げや繰り下げをした場合に、
受給総額は
”何歳まで生きるか” によることなります。
繰り上げの場合
繰り上げの場合、
繰り上げた年齢よりも
16年8ヶ月以上長生きすると、
受給総額が通常受給を下回ります。
繰り下げの場合
逆に繰り下げの場合は
長生きするほど有利で
繰り下げた年齢よりも
11年11ヶ月長生きすると、
受給総額が通常受給を上回ります。
一度繰り上げや繰り下げの請求をすると
後で取り消しはできず、
支給率も生涯変わりません。
それぞれのメリットとデメリットを
よく理解したうえで、慎重に判断してください。
繰り上げの減額率と繰り下げの増額率
65歳から支給される老齢基礎年金:780,100円
(2016年度 満額を基準に)
繰り上げの減額分(1ヶ月ごとに0.5%減額)
60歳:546,070円(▲30%)
61歳:592,876円(▲24%)
62歳:639,682円(▲18%)
63歳:686,488円(▲12%)
64歳:733,294円(▲6%)
損益分岐点(繰り上げも繰り下げもしない)
65歳:780,100円(0%)
繰り下げの増額分(1ヶ月ごとに0.7%増額)
66歳:845,628円(8.4%)
67歳:911,157円(16.8%)
68歳:976,685円(25.2%)
69歳:1,042,214円(33.6%)
70歳:1,107,742円(42.0%)
一度、きちんとご確認ください!
スポンサーリンク
最後に
僕もあと数年で
定年退職を迎える予定です。
年金の「繰り上げ」「繰り下げ」は
定年後の最重要課題であると考えています。
どちらがいいのかは、
その時の個々人の状況にもよりますが、
僕の場合も、正直、
その時になってみないと
判断できないと思います。
できれば、
65歳までは働きたいと考えています。
でも、ひとつだけ思うのは、
長生きすると繰り上げは損、
繰り下げは得になるとは言いますが、
人はいつまで生きれるのかは、
誰にもわかりません。
70歳までの繰り下げは、
老齢基礎年金 780,100円の142%の
1,107,742円を生涯もらえるというのは、
正直すっごく魅力ですが、
それまでに死んでしまうかもしれません。
遺族配偶者にはいいのかもしれませんが・・・。
僕もそこまで
長生きする自信がありません:^^;
いずれにしても、
僕は1961年生まれですが、
どの選択がいいのかは、
今はあまりわかりません。
でも、それまでに情報と知識を蓄積して、
その時になって、自分に一番有利な選択はどれなのかを
学習しながら、ベストな選択ができればと思っています。