女性の乳がんと
子宮体がん（子宮の奥のがん）は、
女性ホルモン（エストロゲン）の過剰によって、
リスクが上昇すると考えられています。
いっぽう、
大豆に多く含まれるイソフラボン類は、
女性ホルモンと似た形をしているので、
女性ホルモンの働きを抑える作用があります。
そのため、
大豆を多く食べることが、
乳がんや子宮体がんの予防につながる可能性が、
最近注目されています。
とはいえ、
この「大豆－がん予防」理論には、
賛否両論があります。
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中国で行われた子宮がんの研究とは？
1997～2001年にかけて、
子宮がんになった上海の女性832人と、
比較群の女性846人に対して、
アンケート調査を行いました。
豆腐や豆乳などの豆腐製品を、
過去5年間に平均して
どのくらいの頻度で食べていたかをたずね、
その回答をもとに、
イソフラボンの摂取量を計算しました。
その結果、
イソフラボンの1日あたり摂取量は、
がん患者の方が（40.5mg）
比較群よりも（42.53mg）
少なめでした。
枝豆の栄養と効能がスゴかった！でもイソフラボンと食べ過ぎの危険とは！
大豆のガン予防効果とは！
イソフラボンの摂取量の大小で、
対象者を4グループに分けて調べました。
すると、
摂取量が最大のグループでは、
最小のグループと比べて、
子宮体がんのリスクが、
0.77倍に低下しました。
つまり、
大豆のガン予防効果を支持する結果だったわけです。
（1日あたりイソフラボン摂取量と子宮体がん発生率の関係）
22.7mg以下 ：1.00倍
22.8～42.5mg ：0.98倍
42.6～63.6mg ：0.79倍
63.6mg以下 ：0.77倍
子宮頸がんの初期症状とは？ なにより早期発見は定期検診が決め手です！
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大豆の害の可能性はないの？
第二の研究として、
イギリスで行われた1993～97年にかけて、
約16,000人の健康な女性から、
血液と乳のサンプルを集め、
冷凍保存しました。
その後、
2001年まで追跡調査をおこなったところ、
114人が乳がんになりました。
比較群の219人とともに、
保存しておいた血液を解凍して、
イソフラボンの濃度を調べました。
その結果、
イソフラボンの血中濃度が2倍に増えると、
乳がんのリスクが1.2倍に上昇しました。
つまり、
大豆のがん予防効果を否定し、
大豆の害の可能性すら
うかがわせる結果だっただけです。
大豆のがん予防効果を実証するのは？
私たち日本人にとっては、
中国の研究の方が、
イギリスの研究よりも
参考になると考えたくなります。
でも、問題はそれほど単純ではありません。
「予防効果あり」とした中国の研究では、
5年前の食生活を対象者に思い出してもらい、
その回答をもとに
イソフラボンの過去の摂取量を推定しています。
一方、「予防効果なし」としたイギリスの研究は、
イソフラボンの血中濃度を測定しています。
対象者の記憶に頼らない、
より客観的なデータを集めています。
結局、
2つの研究を比べると、
「日本人の食生活との類似」という点では、
第一の中国の研究に分があります。
けれども、
「調査方法の客観性」という点では、
第二のイギリスの研究に分があるわけです。
「真実は藪の中」などといってしまうと、
無責任に響くかもしれません。
けれども、最近注目の
「大豆－がん予防」理論も、
けっして「証明済みの事実」でななく、
「論争中のホットな仮設」であることが、
お分かりいただけるのではないでしょうか;^^:
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